直腸
(写真にカーソルを置くと、モノクロはカラーになります。また、クリックすると別ウィンドウで拡大表示します。)
正立顕微鏡と吸引型の固定装置を用いることで観察することができます。
- イソフルランなどの麻酔薬を麻酔装置にて使用し、マウスを寝かせます。以下の作業はすべて麻酔下で行います。
- マウスを仰向けに寝かせて、正中線に沿って中腹部から下腹部の皮膚を1.5cmほど切開します。(写真1)
- 皮膚と同様に1.5cmほど筋肉層を切開します。(写真2)
- 直腸は小腸や他の臓器の奥のほうに隠れています。ピンセットで傷をつけないようにやさしく持ち上げます。どれが直腸か分からないときは肛門から細い棒か何かを差し込んで見て確認してください。
- ピンセットで直腸を軽く持ち上げ、観察したい部位の1cm小腸側、および肛門側の部分をピンセットと糸を用いてくくり、小腸側の糸を固く閉じます。(写真3)
注)虚血してはだめなので、糸と糸の間の観察部位には血液が遮断されないように直腸の外から血管がつながっている部位を選ぶ必要があります。
- 2本の糸で結んだ間の部分に注射器でPBSを満たして膨らませます。注入したPBSが観察時に注射針の痕から漏れ出さないように、肛門側の糸に対して、さらに肛門側から注射針をさします。(写真4)
注)このとき、さらに肛門側をクリップなどで挟んでおくと、満たしたPBSが肛門側に流れ出さなくなって容易になります。また注射針は少し曲げておくとPBSの注入が簡単になります。
- PBSを注入したら注射針を抜く前に肛門側の糸を固く閉じます。
注)注射針を先に抜いてしまうとそこからPBSが漏れ出して腸がしぼんでしまいます。
- 直腸の下に糸や麺棒の軸の部分を通して尾など、直腸が観察しやすいようにアシストします。(写真5)
- 吸引型固定装置のステージの上にヒートプレートを敷きます。このとき、キムタオルのような紙をヒートプレートの上に敷くと後片付けが簡便になります。
- マウスをヒートプレートの上に置き、吸引型固定装置の底面を小腸の観察したい部位の上に近づけ、吸引を開始します。このとき水銀ランプで対物レンズ下を照明すると、どこが吸引される場所であるかが分かりやすくなります。吸引圧は30mmHg程度で十分です。(写真6)
- 顕微鏡でのイメージングを行います。
直腸の観察では、表面は吸引によって固定されていますが深度が高くなるにしたがって蠕動の影響が出てきます。PBSで満たすことによってある程度蠕動の影響は押さえることは出来るのですが、イメージングはスキャン速度を早めにして動きに影響のないような画像取得をすることが望ましいです。
動画撮影

直腸 Zスタック
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直腸のZスタックのうちの表面から50umほど深部の画像です。クリプトの底部あたりが見えています。直腸には小腸に見られる柔毛はなく、クリプト構造の内腔側は平面になっていて、クリプト構造の外腔側には筋肉層や神経細胞などがあります。中:CFPの画像、右:SHGの画像。
画像撮影条件 |
マウス |
Eisuke |
顕微鏡 |
FV1000-MPE |
対物レンズ |
XLPLN25xWMP |
レーザ波長 |
840nm |
レーザパワー |
45〜170mW(対物出射 BrightZ使用) |
Speed |
20us/pxl |
観察エリア |
XY:512x512 pxl、Zoom 1 (500x500um) Kalman 2x
2um step 71枚 0~140um のZstack |

直腸 タイムラプス
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直腸のタイムラプス動画を一部切り抜いた画像です。細胞内のERKの活性の様子をFRET(CFP-YFP)にて観察。上部のイメージは擬似カラーを使用、ERKの活性が高いものが赤、低いものが青く表示されるようにしてあります。
画像撮影条件 |
マウス |
Eisuke |
顕微鏡 |
FV1000-MPE |
対物レンズ |
XLPLN25xWMP |
レーザ波長 |
840nm |
レーザパワー |
70mW(対物出射) |
Speed |
20us/pxl |
観察エリア |
XY:512x512 pxl、 Zoom 2x (250x250um)
12秒間隔 100枚 約20分のタイムラプス |