リンパ節(鼠径部)

(写真にカーソルを置くと、モノクロはカラーになります。また、クリックすると別ウィンドウで拡大表示します。)

正立顕微鏡と吸引型の固定装置を用いることで観察することができます。

  1. イソフルランなどの麻酔薬を麻酔装置にて使用し、マウスを寝かせます。以下の作業はすべて麻酔下で行います。
  2. マウスを仰向けに寝かせて、正中線に沿って下腹部から中腹部まで皮膚を切開します。(写真1
  3. 下腹部(先ほど切開した下端)から側部まで正中線に垂直の方向に皮膚を切開します。
    中腹部(先ほど切開した上端)から正中線に垂直の方向に皮膚を切開します。(写真2
  4. ピンセットで皮膚を挟みながら、麺棒を皮膚と筋肉層の間へもぐりこませ、ゆっくりとやさしく皮膚を筋肉層からはがします。(写真3
  5. 鼠径部を超えて5mmほどまで皮をはがすことができたらリンパ節を探します。はがした皮膚の裏側にあるYの字に血管が交差している両脇にリンパ節はあります。
  6. マウスを実体顕微鏡下へ移動させ、ピンセットを用いてリンパ節に張り付いている薄い膜を丁寧に取り除きます。(写真4
    注)ピンセットでリンパ節を傷つけてしまうと炎症細胞が集まってきます。なるたけ丁寧に傷をつけないように取り除いてください。
  7. 1cmほどの厚みの板をはがした皮膚の下にひき、リンパ節がマウスのお腹と同じくらいの高さになるようにかさ上げをします。
  8. 吸引型固定装置のステージの上にヒートプレートを敷きます。このとき、キムタオルのような紙をヒートプレートの上に敷くと後片付けが簡便になります。
  9. マウスをヒートプレートの上に置き、吸引型固定装置の底面を観察したいリンパ節の上に近づけ、吸引を開始します。このとき水銀ランプで対物レンズ下を照明すると、どこが吸引される場所であるかが分かりやすくなります。吸引圧は30mmHg程度の引圧で十分です。(写真5
  10. 顕微鏡でのイメージングを行います。

動画撮影

1日目
1日目
同じ場所 8日目
同じ場所 8日目

開腹して観察したリンパ節を、開腹した日、およびその8日後に同じ場所を観察しています。左側のリンパ節を見ると血管の位置が同じ位置にあることが分かります。使用した対物レンズ、UPLSAPO4xは、実視野が3.2mm×3.2mmの広さがあるため、リンパ節の全体が見渡せ、高倍率で観察したときの場所探しに向いています。ERKの活性の様子をFRET(CFP-YFP)にて観察しています。イメージは擬似カラーを使用、ERKの活性が高いものが赤、低いものが青く表示されるようにしてあります。

画像撮影条件
マウス Eisuke
顕微鏡 FV1000-MPE
対物レンズ UPLSAPO4x
レーザ波長 840nm
レーザパワー 180mW(対物出射)
Speed 40us/pxl
Kalman 3x
観察エリア XY:512x512 pxl、Zoom 1x (約3.2 x3.2mm)

1日目
1日目
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8日目
同じ場所 8日目
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開腹して観察したリンパ節を、開腹した日、およびその8日後に同じ場所を観察しています。左の動画は1日目で撮影開始30分後にレーザでアブレーションを起こしています。アブレーションが起こった瞬間周りのリンパ細胞の動きが止まっていくのが分かります。右の動画はアブレーション後8日たった同じ場所を観察しています。リンパ細胞の動きはアブレーション前と同じですが、ダメージを受けた痕跡はまだ残っています。ERKの活性の様子をFRET(CFP-YFP)にて観察しています。イメージは擬似カラーを使用、ERKの活性が高いものが赤、低いものが青く表示されるようにしてあります。

画像撮影条件
マウス Eisuke
顕微鏡 FV1000-MPE
対物レンズ XLPLN25xWMP
レーザ波長 840nm
レーザパワー 20mW(対物出射)
Speed 12.5us/pxl
観察エリア XY:512x512 pxl、左:Zoom 1.2x (400x400um)
30秒間隔 120枚 約1時間のタイムラプス

準備するもの
麻酔薬および麻酔装置
動物手術用はさみ
ピンセット
実体顕微鏡
ヒートプレート
1cm程度の厚みのあるゴム板